縛師:神凪インタビュー

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11月にパートナーでもある神楽さんとの“初プライベートDVD”をバミューダレーベルから発売する、縄師・神凪さん。伝説の緊縛師・明智伝鬼直伝の縛りと、独自の解釈を加えた「責め縄」を以って、現在も一鬼のこ鵺神蓮といった若手緊縛師にも大きな影響を与えた縄師に訊くアイソリッド・トーク。インタビューには公私にわたるパートナー神楽さんにもご同席頂いた。

 

―本日は撮影の休憩時間に押しかけて申し訳ありません。バミューダレーベルから10月に新作を発売されるそうですが、まず新作製作の経緯を教えていただきたいのですが。

神凪:―今まさに撮っているというか撮り始めたばっかなんだけどね。これは殆どプライベートビデオですよね。バミューダさんとは作品の中で、縛師として何度か組んでいて、よく「がっつり縛りだけの作品創りましょうよ!」って話はしてたんですよ。そしたら「いいですねぇ。じゃあいっそのこと神楽さんとやったらいいんじゃないですか?」みたいな…本当、軽いノリで始まったんです。

神楽:丁度、私と組んで10周年だからなんかやろうってね。

神凪:そう。11周年になってるけど。神楽さんもVは引退して大分経つけど一日限りの復活ということで。

神楽:2人でイベントなんかはよくやってるんですけど、Vはなかったのでやりたいねって言ってたところだったんだよね。

神凪:彼女が女優時代は私が縛ることはなかったんですよ。

神楽:殆ど奈加さんでしたね。神凪さんとは組む機会がなかったので。じゃあ10周年記念で自主製作で写真集だそうよ、とか企画してたらVどうですかというお話を頂いたので…もう是非お願いします!って。

―去年<2016年)がちょうど神凪さんと神楽さんが組んだ活動の10周年だったんですよね。さかのぼって20年前、神凪さんがミストレスとして活動されていたころに明智伝鬼さんと知り合われたのが、プロの縄師を志されたきっかけと聞いています。明智さんとの出会いはどのようなかんじだったのでしょう?

神凪:池袋にあったニューハーフヘルスに勤めてまして、元々SMに興味もあったのでSMコースを作ってもらったんです。そこで知り合ったMの男性に連れてかれたハプニングバーで、今度は自分がママとして働くことになったんですね。

その頃の自分の縛りというと、もう本当がんじがらめにしておきゃいいやって程度の縛りだったんです。映像で明智さんは知っている程度でした。

のちにプロデビューさせていただく時にお世話になる方が遊びに来られて、この方が連れてこられたんです。

池袋にあったニューハーフヘルスに勤めてまして、元々SMに興味もあったのでSMコースを作ってもらったんです。そこで知り合ったMの男性に連れてかれたハプニングバーで、自分がママとして働くことになって。

その頃はもう本当がんじがらめにしておきゃいいやって程度の縛りだったんです。明智さんのこともビデオで観て知っている程度でした。

で、のちにプロデビューさせていただく時にお世話になる方が遊びに来まして、この方が連れてこられたんです。

―明智さんというと全身黒づくめに黒サングラスという印象が残っています。

神凪:それがね…。ビデオで見ている風貌と全く違っていて、そこでビックリしました。

サングラスもしてないし、なんか普通の優しそうな…ほんわかしたおじさんが来たって感じで。

 おお、この人があの有名な!じゃなくて、え、この人?みたいな。今思えば失礼な感想ですが。

―明智さんからはどんなことを教わられたんですか?

神凪:知り合って1年経たなかったと思うんですけど、自分でもだんだん縛りの難しさとか面白さが分かってきた頃かな。縛師という仕事があることもその頃分かったくらいで。でも、やるからにはプロを目指したいと思い始めたんですね。

その気持ちを、のちにプロデュースしてくださる方なんですが…その方に話したら「いついつの何時頃あけといて。明智先生がいくから」って言われて。

自分も明智さんに教えていただきたい気持ちもあったんですけど、相手がすごい人だな…っていうのが約1年間で分かってきたんで、恐れ多くて却って言えなくなってて…。

あの頃は講習会とか教室とかもなかったですしね。明智さんのショーとかは見に行ってて、出来ることと言えばそこから盗む感じだったですね。ただ、肝心要の後ろ側はそうそう見せてはくれないんですよね。基本は女性の前をお客さんに見せるので。

だからそこを見せてくれたのはすごく嬉しくて!学んだと言えるのはその1回だけなんですよ。ものの3時間くらいかな。縛りのパターンとしても2か3パターンくらい。

でも、それで十分だったですね。少なくとも自分が分からなかったことは全てわかったので。何よりの財産だと思ってます、あの3時間は。

―すごい凝縮したものを見せてくれたんですね

神凪:そう思いますね。一時、明智神凪を名乗ったこともあるんですが、まぁ色々とあってその名前はお返ししたんです。ただ、明智は名乗らないけど、明智伝鬼の縛りをちゃんと受け継いでいるんだなって観た人が分かるものにしていこうという覚悟はしました。

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―個人的に明智さんで思い出とか他にありますか?

神凪:後に池袋に自分のSMハプニングバーを出したときによく遊びに来ていただいて。雑談なんかもその頃になるとよくしてましたけど、本当楽しそうにやられるんですよ。

「こういう縛り本当好きなんだよねぇ」とか言いながらプレイされてるのを見てると、仕事じゃなくて本当にただ好きでやってる。

もう、いい意味で変態おじさんって感じでしたね。

でも、実際好きで、女の子とそういう時間を共有できてたのが楽しかったんだろうなぁ、と。今思うと、もっと色々なこと訊いておけばよかったというのはありますけどね。

―縄師としてやっていこうと決められたのはいつ頃だったんですか?

神凪:2010とか2011年くらいですかね。それまではSMハプニングバーをやりながらイベントがあれば、Vがあればとそれぞれ参加してはいたんです。縄師として独立したいと思ったのは、海外で仕事をしてみたいと思ったのもあったんですが…確か突然言ったんだっけ?

神楽:たしかそう。

神凪:その当時神楽さんと公私ともにパートナーであったので相談というか打ち明けたんですよ。縄師一本でやっていくのが難しいのは分かっていたんですけど、どこかでけじめをつけないとだらだらしてしまいそうだったんで。要は逃げ道をなくしたかったんですね。

神楽:いつかはなりたかったんだよね。ただ、そのいつかを「今やらないとできないと思う」って言いだしたんだよね。

神凪:後悔するような気がしたんですよね

神楽:チャレンジするなら今しかないって感じだったね。

神凪:ちょうど40くらいの時だよね。神楽さんの協力があったから踏み込めたと思う。やればやったで、やっぱり迷惑かけちゃうしね。

神楽:やるなら一緒に頑張らないといけないと思ったなぁ。

神凪:とにかくそれぐらい覚悟決めていかないと出来ない、と思ったんですよ。人の身体を預かる身じゃないですか。自分は片手間では出来ないと思ったんですよ。相手の身体に物凄い負担をかけるわけですから。そのぐらい覚悟しょって仕事したい、っていうのが一番強かったですね。

―やっぱりパートナー(神楽さん)の後押しは強かったですか

神凪:そうですね。自分一人では出来なかったですよ。

彼女が裏で支えてくれてるからこちらは表、縛りに集中できるし。失敗すれば怒られるし(笑)。

神楽さんもエロ業界自体長いし、彼女なりの考えもあるので、いいアドバイザーでもあるわけです。Vの現場なんて彼女の方が経験豊富なわけですし。

註:神楽さんはかつて姫宮ラムとしてAV女優活動をされていた。大体、2005年から2008年ごろ

最近ですよ。安定してきたの。バミューダさんでやらせていただくようになったのも最近だしね。

神楽:最悪、私がモデルをやれば女優さんのギャラが浮くわけじゃないですか。じゃあそっちは自分が頑張ろう、一緒に頑張ろうってね。

神凪:まぁどっちにしろ、自分たちのギャラにはなるわけですから(笑)。

―業界的にいうとグロスでよろしくみたいな感じですね

神凪:そうそう。セット売りです、パッケージ売りでお願いしますみたいな…ね。でも、そのおかげで神凪、神楽っていう呼び方もすごく広まったし。二人でやる大事さってのも学びましたね。一人の女性をどんな場でも飽きさせずに見せるショーも私の仕事だと思うので。神楽さんとの10年間っていうのはいい勉強になったと思ってます。

―神楽あっての神凪です…みたいな。

神凪・神楽:お願いします(笑)。

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―なんか文章にするとここで締めみたいな、いいオチ頂いてるんですが。個人的にすごく聞きたかった事があるんです。神凪さんのプロフィールに「責め縄」とありますよね。受け手に与える責め苦もしくは苦痛としての「緊縛」というイメージがあって…。神凪さんにとっての「責め縄」ってどういう定義なんでしょうか。わってきているのかもしれないけど、昔は特に何もない普通の人は縛りを求めてこなかったと思うんですよ。

神凪:いろいろな解釈がると思うんですけど、痛みを与えるだけじゃなくて、圧迫される苦しみも与えてるわけです。けれど、その苦しみの中から解放も与えることもできるんですよ。矛盾してはいるんですけど。

明智さんの言葉をお借りすれば「身体を縛ることで心が解かれる」っていうのかな。

やはり縛りを求めてくる女性というのは何らかの疵があったりとか、トラウマがあったりとか。今は変わってきているのかもしれないけど、昔は特に何もない普通の人は縛りを求めてこなかったと思うんですよ。

神楽:表面的には頑張ってる風に見えるんだけど、実は自分を出し切れてない人とかかな。

神凪:メンタルにすごく重たいものをしょった方がSMの世界に入ってくるわけです。それを解放したくて。リストカットも要はそうですよね。自殺未遂を起こしたい訳じゃなくって、自分を生かすために切ってるんですよ。

神楽:赦してほしいっていうのかな…誰かに赦してほしいんですよ。それを緊縛に求めるとコミュニケーションでいうと赦される感じがする。

神凪:そういう意味でのコミュニケーションなんですよね。

神楽:受け入れてもらえてるって実感がある。

神凪:こちら(責め手)からすると認めてあげる…というのかな。君の中にあるものを分かってるよ。もっと出していいよ、と。セラピストではないんだけど、SMというプレイを通して相手を解放してあげる。で、元気にさせて、世の中に出てってもらう。で、また色んなものがたまったら来ればいい。そういうもんだと私は思ってます。そういう意味も込めて責め縄っていうのもコミュニケーションツール…という意味で使ってますね。

確かに「何で痛みを与えるのがコミュニケーションツールなんだ」って思いますよね、ふつうは。

神楽:痛みを感じたい人、苦しみを味わいたい人、血を見たいひともいますし

神凪:いろんなパターンがあるんですよ。これはSMをやっている人でないと分からないことなんです。役割を果たしているだけなんですよ。だから自分の店に来る人なんかは、やっぱり重たい方が多かったですね。

神楽:もうメンヘラだよね。

神凪:そんなもんじゃない。もっと重度のやつですよ。いつ死んでもおかしくない子もいるわけですよ。

 そういう女の子から学ぶことも多かったですよ。相手とのコミュニケーションの取り方、間の置き方…つっこみすぎてはいけないし、依存されてしまう手前で止めないといけない、とかね。

縄もそうだし、針もそうだし、店では出来ないけど浣腸も…。SMプレイというのはそういう「役割」なんだと思います。深い深い世界ではありますね。

最近のものは分かりにくくなってきてますが、昔のDVDじゃなくてVHSの時代なんかは本当に、ガチだったんですよ。素人の女性が応募してきて…明智さんのビデオがまさにそれで。最近は激減してしまったんで、伝わりづらいと思うんですよね。

なので、責め縄というものには定義みたいなものはなくて、それぞれの解釈でいいと思います。

だから、当然ギリギリのところで止めてはいますけど、神楽さんの時は壊しに行くこともありますよ。それぐらい本気なんだよ、ってことは見せたいので。

―針とか流血も伴うSMだと、縄なんかに比べるとどうしても誤解されやすいという気がしていたんですけど、そういうことなんですね。その解放してあげるまでの過程、プレイに置いて神凪さんが一番、興奮するところはどこでしょう?

神凪:やっぱり相手が縛りで苦しんでいる姿を見ている、その瞬間ですね。

神楽:反応だよね。苦しんでたり、悦んでたりする…。

神凪:苦しみとか痛みとかを超越すると愉しくなってくるんですよ。詳しいことはよくは分からないけど、脳内変換させるらしいんですよね。耐えさせるために。自己防衛ですよね。

それを見て、もう一段苦しみのレベルを上げてあげる。そしてまた苦しむのを見てる…その繰り返し。上を上を見てるその過程が楽しいんですよ。

神楽:限界を超えたあたり?

神凪:これ明智さんのおっしゃってた言葉なんですけど「死ぬ瞬間、呼吸が止まる瞬間ってヒューヒュー音がするんですよ。その呼吸音がたまらないんですよ」って。何言ってんだこの人?って思いましたよね、その時は。普通聞かないよ、そんなもん。

ーそこだけ聞くとただの危ない人…

神凪:だから言ったじゃないですか。ただの変なおじさんだって(笑)。でも私の印象ではそうでした。まぁやっぱ普通は分からない世界ですよね。

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―今回のバミューダ制作作品ですが、意気込みやここが見どころといったものがあればお話しできる範囲でお願いします。

神凪:元々が監督のノリの軽さで実現したんですけど。ただ、「ハメは出来ないですよって」最初から断りは入れてました。やるなら純粋な緊縛ものにしたかったので。

神楽:縄師のSEXみたいか?

神凪:さっきまで奈加さんが遊びにいらしてたんですけど、「じゃおれ男優やるか!」とか言ってて。それじゃ緊縛寝取られビデオだよ!って。

―ジャンルとしては斬新ですね。

神凪:一切絡みのないSMビデオ作をりたかったんですけど、今それで成立させられる女優さんも少ないですからね。神楽さんと組んで10周年というのもあるんで。まぁ監督がドン引きするぐらいなものをこれからお見せしていこうと思います。

―初めての神凪・神楽の阿吽の呼吸を映像に残すわけですね

神楽:出せればいいな。

神凪:SMマニアさんであったり、緊縛マニアさんであったり、そういった人たちが喜んでくれるような作品、マニアさんに喜んでもらえる作品になるように頑張ってます。

―最後に。神凪さんにとって緊縛とは何ですか?

神凪:う~ん難しいなぁ。

神楽:毎回答えが変わるかもしれないね

神凪:う~ん、やっぱ人生かな。自分の全て?いや一部か。四年ほど休止期間があるんですけど、それがあるから余計そう思うのかもしれないですね。いろいろな人生模様見てこれるし、その経験が自分の人生に反映するし、自分という人間がどんどん変わっていくのもわかる。

縛りを通じて自分の人生を学んでいるような気がします。いろんな方から。縛りで関係した方たちからいろんなことを教わって。自分というものが少しづつ成長していけてるのかなって。

女性を悦ばせることはまぁ当然なんだろうけど、縛りを通した出会い―そこに関わる人たちとの出会い―そういったものが私の人生に大きく影響を与えてくれているので。いいも悪いも含めてね。

本当、私は縄師になってよかったし、明智先生と出会えたことは何よりも大事なことです。

―これからが撮影本番だと思います。作品楽しみにしております。ありがとうございました。

 

今回のインタビューは作品の完成後ではなく、撮影の休憩時間に録るという形を取りました。必然的に出来上がった作品についてアレコレ聞くことは叶わないため、神凪さんという縛師さんが、どんな心情で、どんなテーマを以って縛りに臨むのかという、お話しを中心にお聞きしました。ドラマAVの中での緊縛ではなく、素の、本当に緊縛を求める人と、求める人に応える形での緊縛というものを生業にしてきたプロフェッショナルが追い求めているものの片鱗が聞けたのではないかと思います。

 よく、「SMは奥が深い」と耳にはしますが、求められるSMという行為にどう応えていくかということから考えると、求める相手の数だけ責め方も異なるということで、一言でまとめられるものではないのだと思います。答えではなく、その場その場で最良の責め=過程を考えているプロが作り出す作品には、きっと身体だけでなく心で感じる部分も凝縮されているのではないでしょうか。

 去年10年を迎えたという神凪さんと神楽さん。お互いを信頼しあったパートナー同士だからできる呼吸が、完成映像から感じられる…そんな作品になっていることを願ってやみません。

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*ジャケット写真は完成前のものです。予告なく変更

される場合があります。