特選AVレビュー『雪村春樹 縄妻 涼川絢音』

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緊縛界の巨匠が此の世を去ったのは、2016年3月。亡き雪村春樹氏は、「縄で情を交わす」ことを大切にしていた。緊縛で女は悦に入る。本作は、雪村氏の遺作となった永久保存版。幼妻を演じる涼川絢音との情感溢れる縄遊戯は、縄で愛撫される女の情欲を描いたもの。しっとりと濡れゆく淫靡な姿を目に焼きつけて欲しい。

 

雪村流縄遊戯のファンは多いだろう。10代でSMに目覚め、写真家から映像監督へ転身、その後は緊縛師として第一線で活躍してきた、緊縛界の大巨匠だ。穏やかそうな外見が物語るように、縄を通じた温かみのある縛りが魅力となっている。「きつう縛るのは誰でもできる。しかし、ゆるう縛るのは難しい」とかつて語ったことがある雪村氏。ゆるさというのは、甘くという意味ではない。相手をほだすために必要な優しさのことだ。距離感もさすが巨匠といえるべく、いきなり縛るのではない。まずは背後から強く抱擁する。この抱擁で女は情にほだされ、雪村氏に身を委ねるようになるのだから、すごく大事なステップなのだろうと感慨深かった。

雪村氏の作品は、全般的に物語構成になっているものが多いが、本作も同様に軽いストーリー設定がなされている。幼妻が“悪いこと”をしに、雪村氏の元を訪れるという設定だ。“悪いこと”は、拘束されて快楽を得ること。そこから新たな自分を見出すストーリーだ。雪村氏の手にかかれば、女はこれまで感じたことのないエクスタシーと情熱を覚える。緊縛が非日常的な行為だからこそ、罪悪感があるとはいえ、より深みへとはまっていくのだ。

幼妻を演じる涼川絢音の表情もなんともいえない可愛げと温もりがあって、感情移入してしまう。手が届きそうで届かない、近くにいそうでいない。そんな存在感も、この作品を色づけする要素となっている。こんな儚げな女を縛り上げていいのだろうか、どんなスイッチが入るのだろうか、いろいろな妄想をしながらご覧いただきたい。幼い表情とは相反して、むっちりした体つきとすっと伸びた足、ぷるんとしたおっぱいが非常に淫猥な印象でたまらなくなる。

本作は、二部構成といってよく、シーンは2つだけ。場所は同じだが、雰囲気が昼と夜の設定でがらりと変わるので、どちらもじっくり堪能してもらいたい。チャプター1は、陽が照らす中での撮影。太陽光がさんさんと差し込み、幼妻が縄で調教されていく様を卑猥にあぶり出していく。ごく普通の服装でやってきた幼妻が、まさか麻縄でぐるぐる巻きにされるとは、思いもよらなかっただろう。ストッキングとパンティが半分脱ぎ剥がされ、足に引っかかっているのも、鑑賞側としては必見の価値あり。男のこうしたい願望のツボが見事に抑えられている。縛られるごとに恥ずかしそうな表情を浮かべるが、時にはうっすら恍惚とした微笑みも垣間見ることができる。そう、縄は魔法、まさに縄で情を交わしているのだから。

雪村氏は監督も務めた経験もあり、演出力も非常に高い。そして、女優の持っている良さをどんどん引き出そうとしていくテクニックが、ほかの緊縛師よりも秀でているのだろう。緊縛は恥辱や凌辱といった言葉につながるものと考えられがちだが、雪村氏の縛りはまるで別世界。どうしたらこの女は快楽を得られるだろうと、女の体を探りながら超越した悦を体感できるいいプレイを展開しているのだ。より美しく、よりエロく、より艶っぽく、そこへ導いていくのが、雪村氏の縄遊戯の原点だと思う。

「ビチョビチョや……恥ずかしいのぅ」「いやらしいなぁ」雪村氏も気持ちがどんどん高ぶり、言葉で女の感情に訴えかけていく。それに素直に反応する幼妻もいじらしくていつまでも眺めたくなる。不思議な世界に迷い込んだようで、二人の縄を通じた世界観はまったり、そしてじんわりとした小説の「失楽園」みたいな異空間だった。縄奉仕とパッケージにもあるが、縄で奉仕するのは女でもあり、雪村氏自身でもある。緊縛という1つの偉業を成し遂げるため、2人は一心一体となってつながっているのだ。縛ることは簡単かもしれない。しかし、心の深い場所で通じ合うことは、そこらへんの人にはできないことだろう。まさに、雪村氏がそれを伝えている。

後半のチャプター2では、赤い襦袢で涼川絢音が登場する。幼妻から一気に色艶やかな大人の女性へと変貌し、成熟した肢体をあらわにしてくれる。ピンと立ち上がる乳首とクリを、雪村氏が丹念に愛撫し、過敏に反応する姿はエロさを通り越して、観るものすべてを虜にするだろう。どこにでもいそうな女が目の前で、こともあろうに緊縛師によって汚されていく。想像してみて欲しい。童顔で男なんぞ知らないといった処女のような顔つきの女が、おマンコから愛液を垂れ流して欲している様子を……。考えるだけでも妄想は加速するはずだ。

雪村氏の縛りは高所への吊り上げが入る作品もあるが、信条として座って対峙することを基本としている。立って縛り上げるのは作業に近いと考えるからだ。座ることで目線を合わせやすくなり、パートナーとして信頼感を抱かせる狙いもある。だから、縛る前はしっかり抱擁を交わすことを忘れない。もし、あなたが縛りに興味があるのなら、この雪村氏の心得は覚えておいて損はないだろう。背後からぐっと抱き寄せ、体温を女に伝える。それが伝わり始めると、途端に女はスイッチが入り、うっとりした表情を浮かべ始めるのだ。この過程は、どちらのシーンにも必ずある。そして、愛撫する時も、しっかり顔を見て、表情を捉えながら、舐めたり、縛ったりしていく。女が気持ち良くなればいいという考え方ではなく、画面を通じて熱感や女のほてりを感じ取ってもらいたいと思いながら、丹念に縛り上げていくのが感じられる作品だ。

本作では、鏡を使った視覚調教も加わる。縛られている様子を見せて、自分の変わり果てた姿に特別感を抱かせる意図だ。縛ることで、「今のお前は俺ももんや」と言わんばかりに……。緊縛師のやり方はさまざまだが、ここまで密に女優と絡み、深く関わり合う緊縛師は類を見ない。今後は、雪村氏の縛りを観ることができないかと思うと、寂しささえ感じてしまう。かつて雪村氏に縛られてきた女優は幸せだっただろう。そして、遺作となった本作に出演した涼川絢音にとっても、思い入れのある作品になったに違いない。

今回の縛りで中心になったのは、後手縛り・獣縛り・片足開脚縛りだ。シーンごとに、縛られて放置されたままの涼川絢音の表情をアップで楽しむことができる。瞬きするごとに、もっと今の私を記憶に残してと訴えかけているようだから、思わず釘づけになってしまう。これが、なんとも表現し難いほど、色気ムンムン。股縄もふんだんに使われていて、ラストシーンに近いところでは、自分から腰を振ってイってしまうほど。「イかせてください……!!!」と懇願し、興奮と快感が絶頂に達しているのがわかる。ここは何度も見たくなるほど、可愛らしい女がエロスを全開にしているシーンだ。

雪村春樹氏の遺作となった本作は、幼妻をじんわり締めつける縄遊戯が堪能できる。昼の顔と夜の顔の2つを魅せた涼川絢音も、童顔ながら艶やかでエロさが入り交じり、脳裏の強く残った。遺作となった今、これから先に雪村氏の作品を観ることはできない。優しく縛っているのに、しっとりと濡れゆく肢体には、女の情欲と独占されたい欲望がよく表現されている。スローテンポなストーリー展開だが、飽きさせないやりとりが雪村流縄遊戯の真骨頂といえるだろう。涼川絢音は2014年のデビューで、まだ23歳という若さ。新進気鋭の女優で今後も多いに期待できる。雪村氏の洗礼を受け、更なる境地へと歩みだしたことだろう。涼川絢音と雪村氏のコラボレーションを存分に楽しみ、互いに縄奉仕する様子をしっかり目に焼きつけてもらいたい。

文—角 由紀子

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